きみが見た光
「…彩夏、ごめん」

俺は唇を噛み、肩を震わせながら謝った。

「俺はただ、昔抱いていた感情に流されているだけかもしれない。だから、付き合ってるってのは事実とは違う。…でも」

『…好きなんでしょう? ごめんね、圭から聞いちゃったの。ずっと相談してたから…』

だから偽装で彩夏と付き合うことにした時、圭は嬉しそうな顔をして、賛成していたのか

『嘘でも、そのうち本気になるかもしれないから…って。真白は頑固だから、自信は半分くらいだったけど』

彩夏は寂しそうに笑った。それがどうも俺の心を締め付けるのだ。

「写真の事は気にしなくていい。お前の意志で野崎とは別れろ。お前が責任を感じることじゃない。写真を撮られたのは俺の責任なんだから」

『…でもまた変な写真が出たら』

「退学にまでならないだろ。実際付き合ってるわけじゃないんだし、奈緒だって完全否定するよ」

俺はその日に嫌われたわけだし…

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