きみが見た光
(今日は、無事だったか…)

そこから最寄りの駅までの短い道のりで、俺はそんなことを考えていた。

部屋の明かりが付いていなかったため、奈緒の帰りを待っていた。

あの時の、勝利宣言に満足して笑う橘の顔が忘れられず、足が向いてしまったのだ。

『お前に、あの人を守り抜くことができるかな?』

ふざけやがって…!

対抗から来る車のライトを浴びながら、俺は明るい夜道を歩いていた。

すると、誰かが俺の背中を押した。そのまま振り向くと、息を切らして立っていたのは奈緒だった。

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