きみが見た光
「だって…」

だって、あんなに私の事を憎んでいたじゃない…

そう言いたいのか?
だから、信じられないってか?

「俺が兄貴に似てるから、複雑?」

「……」

彼女は、黙ったままだった。

図星か。

「例えそうだとしても、俺の気持ちは多分…」

「健は健。真白くんは真白くんだよ」

俺が言い終わる前に、奈緒が口を開いていた。その口調はとてもはっきりしていて、強い意志を感じた。

「兄弟だもの。似てるのは当たり前よ。…でも同じなわけない」

そう話した瞬間、彼女は目を伏せ、再び下を向いた。

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