きみが見た光
10.家の前にて
(部屋の中を見るとしたら…)

俺は奈緒のマンションの周りを歩きながら人が入れそうな所を探していた。

あまり昼間に動き回れないから、こうして日が落ちてから行動しているのだ。

盗聴器が仕掛けられていたとなると、一度部屋に入ったことのある人間しか有り得ないだろう。

(橘は、入ったのか…?)

俺でさえも簡単に入れてくれたんだから…

(くそっ)

想像したら、ついイライラして頭を掻いてしまった。

俺が奈緒の部屋で電話を取ったとき、どこかで覗いていたかのようなタイミングだった。

(盗聴器を仕掛けたなら、近くで探るはずだよな)

ところが、人目につかず何かできそうなところが見当たらない。

橘が一番怪しいじゃないか。

心配だ、とか言って中に入って、盗聴器仕掛けて、近くに車を停めて、そこから…

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