きみが見た光
彩夏の告白以降、彼女からの連絡も途絶え、時々かかってくる圭から、学校の様子を聞いていた。

相変わらず彩夏は野崎の隣りにいるとのことに、苛立ちを覚える。

"好きな人が、また吊るし上げにされるのを、黙って見ていられるはずないじゃない…"
あいつはそう告白してくれた。

そんな彩夏が、野崎を含む野球部数名に、部室で乱暴されたという衝撃的な事実を圭から聞くはめになるとは……

俺が救ってやれればいいのが…

でも、それは違う…
多分それは、今の自分から逃げるだけだ。楽な方に流されてはいけない。

あの人が俺の気持ちに答えられないとしても、せめて抱えているこの気持ちを貫かなければ、俺はきっと後悔するだろう。

(彩夏… ごめん)

俺は、罪悪感で締め付けられるその心の中でポツリとつぶやいていた。



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