きみが見た光
「真白」

駅の改札を抜けると、制服のままの圭が手を挙げて俺を呼び止めた。

「謹慎中のクセに、外出していいのか?」

苦笑いを浮かべながら、圭が俺の脇腹を肘で突く。

「…そんなこと言ってられねぇだろ」

真面目な顔をして答えると、圭は黙ってうなずいた。

圭も、少なからず責任を感じているのだろう。彩夏の背中を押したのは圭なのだから…

「やっぱ主犯は野崎?」

俺がそう尋ねると、悔しそうな顔をして圭はうなずいた。

「彩夏に無理矢理酒を飲ませて、やろうとしたみたいだ。…ったく、サイテーだな」

吐き捨てるように圭が言った。

「とりあえず、彩夏ん家に行ってみよう」

俺がそう提案すると、圭もうなずく。俺らは並んで足早に歩きだした。



< 139 / 161 >

この作品をシェア

pagetop