きみが見た光
「さっき始業式の着任の知らせでもあったように、近藤奈緒先生は、34HRの副担任についてもらうこととなった。…先生、挨拶してくれます?」
澤井は、教壇を下りて端に寄った。
グレーのスーツに身を包んだあの女は、ゆっくりと教室全体を見渡し、口を開いた。
「皆さん、初めまして。私は近藤奈緒と申します。担当は、音楽です――」
奈緒は、緊張した面持ちではなく、少し微笑みながらはきはきと話していた。
窓から入る明るい光を受けて、白い肌が透き通るほど白く見える。
(…なんか、前に会ったときと印象が)
明るいその姿を目にした時、俺の視線は、奈緒の目を突き刺していた。
彼女が窓際の席に視線を投げ掛けたとき、俺は彼女と目が合った。
(うわっ)
俺は焦り、俯こうとした。
その時、一瞬だけ彼女の瞳孔が開くのを見逃さなかった。
(気付かれた、か…)
どこに視線をやったらよいか解らず、小さな溜息をつき、背中を丸める。
やっとあの赤い唇が静かに閉じられると、また澤井が教壇に立ち、簡単な話を始めた。
澤井は、教壇を下りて端に寄った。
グレーのスーツに身を包んだあの女は、ゆっくりと教室全体を見渡し、口を開いた。
「皆さん、初めまして。私は近藤奈緒と申します。担当は、音楽です――」
奈緒は、緊張した面持ちではなく、少し微笑みながらはきはきと話していた。
窓から入る明るい光を受けて、白い肌が透き通るほど白く見える。
(…なんか、前に会ったときと印象が)
明るいその姿を目にした時、俺の視線は、奈緒の目を突き刺していた。
彼女が窓際の席に視線を投げ掛けたとき、俺は彼女と目が合った。
(うわっ)
俺は焦り、俯こうとした。
その時、一瞬だけ彼女の瞳孔が開くのを見逃さなかった。
(気付かれた、か…)
どこに視線をやったらよいか解らず、小さな溜息をつき、背中を丸める。
やっとあの赤い唇が静かに閉じられると、また澤井が教壇に立ち、簡単な話を始めた。