きみが見た光
「彩夏を救えるのは、お前だけなんだぜ…?」

圭が搾り出すように吐き出したその声に、俺は胸がズキズキと痛む。

野崎に脅迫されて、半ば強制的に彼女になったのは、俺のせいだ…

解ってる…
解ってるけど…

「…ごめん」

俺は本当に小さな声で謝っていた。圭に言うべき言葉ではない。

彩夏に言わなければならないのに…

「お前ねー」

隣でひとつ、あからさまに吐かれた溜息が耳を掠めた。

「好きな女から、恋愛相談持ち掛けられる俺の気持ち、解るかー?」

突然のカミングアウトに、俺は立ち止まってしまった。

「へ…?」

聞き間違えたのかと思うくらい、圭はさらりと口にしたのだ。

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