きみが見た光
「橘と付き合うわけか…」

俺が自嘲気味に笑うと、彼女は首を振った。

「前にも言ったでしょ。橘先生はとてもいい人なの。でも、そんな関係じゃないわ」

「"そんな関係"になる予定はあるわけ?」

「真白くん」

困った顔を浮かべ、奈緒は笑う。

「真白くんが、私を好きだと言ってくれたとき、正直嬉しかった。」

「え…?」

「私を許してくれる人がいてくれたと、思えたから… だけどね、私がここにいることで悲しむ人がいるなら、私はここにいたらダメなのよ」

悲しむ人…
息子を失った俺の両親
兄貴の友達、親友

でもみんな、解っているはずだ
兄貴が死んで一番悲しいのは
奈緒のはずなのに…

記憶を無くすほど好きだったのに…!

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