きみが見た光
(腹、減ったな。俺も帰るか)

少し開いた窓から見えるのは、何の迷いも無い青い空。そこから吹いてくる熱い風が、髪を撫でる。

優しい風だった。

奈緒とは、学校でもほとんど会うことがなくなった。

べつに避けていたわけではない。

選択科目で、元々音楽をとっていなかったし、彼女が副担任として教室に来ない限り、校内で見かけることがほとんど無いのだ。

時々、職員室に行くと姿を見ることもある。でも、見かけたとしても、話をするわけでもない。

ただの教師と生徒。

それだけの関係なだけだ。



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