きみが見た光
トイレに寄ってから、かったるい足取りで俺は教室を出る。そして、階段を降りて下駄箱に向かった。

階段の下にいたのは、他の生徒と談笑している、奈緒。

上から降りて来る俺に気付き、目が合った。

奈緒と話していた生徒たちが、帰りの挨拶を口にしながら下駄箱に向かっていく。

何か言おうと口を開こうとした彼女とすれ違うとき。

「"先生"、さよーなら」

俺はそれだけ口にして、自分の下駄箱に向かう。

「さっ、さようならっ! 勉強、頑張ってね」

俺の背中に向かって奈緒が大声で挨拶を返してきたのだった。



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