きみが見た光
あれから奈緒が橘とどうなったのか、俺は知らない。

おそらくそれは知る必要の無いこと。

奈緒は、もう俺から去って行った。

関係の無いこと。

そんな風に思うことで、俺は自分を庇っていたのは事実だった。



靴に履き替えて外に出ると、そこに橘が立っていたのだ。

あの細い目で、俺を見ている。

「…なんだよ」

対抗して同じような目で、俺は橘に言った。

「…ちょっと来い」

橘は小さな声で後を付いて来るように促した。



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