きみが見た光
「…なぁ」

首を傾げながら、不意に圭が口を開く。

「お前、奈緒ちゃんと知り合いなの?」

ヤツは、俺の顔を覗き込むようにして尋ねて来た。

「なんで」

ぶっきらぼうに答える俺に、圭は続けた。

「お前に話し掛けようとして、空振ったみたいだったぜ?」

圭は眉をひそめながらそう言った。しかし、俺は「知らねぇよ。人違いじゃねぇ?」と彼女との関わりを否定する。

「ふーん」

消化不良のような返事をしつつ、急に表情をパッと変えてまた口を開いた。

「ま、お前があんな美女と知り合いな訳ねぇよなっ」

笑いながら俺の肩をポンポン叩く、圭。顔をしかめながら、俺は階段を下りていた。





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