きみが見た光
「真白」

1限のホームルームの後、俺がトイレに立とうとすると、圭はすかさず声をかけてきた。

「ん?」

振り返りながらも、教室を出ようとすると、圭も俺の後について来る。

「学校からあんなに近いお前がなんで遅刻なんだよー」

苦笑いを浮かべながら圭は言った。

「知るかよ。目覚ましをいつの間にか止めてたみたいでさ」

「ふーん?」

なぜか疑問形で相槌を打つ、圭。

「なんだよ」

俺はそれを横目で尋ねた。

「…昨日からお前、なんだか変だしなぁ」

圭は、昨日の体育館の俺の様子を思い出すように、視線をやや上に向けながら答えたのだ。

「…気のせいだろ」

俺はサッとヤツに背を向けてサッサと歩き出した。そんな俺を見ながら、ヤツの顔には腑に落ちない顔を浮かべている。

言える訳がない。
いくら親友だとしても、それは俺のプライドが許さない。

…絶対。

俺は構わず、トイレの入口のドアを開けて、中に消えた。



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