きみが見た光
俺には以前、7歳年上の兄貴がいた。

"以前"とつく通り、今はもうこの世にはいない。

兄貴は、歳の離れた俺をすごく可愛がってくれた。どこに行くにも、俺を必ず連れて言ってくれた。…嫌がっているにもかかわらず。

しかし、いろんなことを教えてくれたんだ。

当時、兄貴には彼女がいた。

それが奈緒だ。

兄貴はなぜか奈緒と会う日にも、俺を連れていく。さすがに抵抗したけど。

初めて奈緒に会ったのは、俺が小5の時だ。

忘れない。

あの日は、バレンタインデーだった。



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