きみが見た光
両想いだと思っていた女の子が、当時一緒につるんでいたヤツのことが好きだったことが発覚した、最悪な日だった。

俺は玄関先で座っていると、奈緒が風邪を引いた兄貴にプリントやノートを渡しに家に来たのだ。

その時、初めて話し掛けられたのだ。

「…真白、くん?」

さっき、廊下で声をかけたときのように、恐る恐る俺の反応を探りながら。

「……」

当然、膨れている俺は無視した。

「どうしたの? ひょっとして、チョコもらえなかったとか…?」

突然、核心を付かれ、俺は思わず顔をしかめた。

「なんだ、図星?」

奈緒は笑った。いつの間にか、俺と視線の高さを合わせるようにしゃがみ込んでいた。

俺はプイっと顔を背け、また下を向く。

すると奈緒は自分のかばんに手を突っ込み、何かを探っていた。



< 23 / 161 >

この作品をシェア

pagetop