きみが見た光
校門には、たくさんの生徒が自分の教室に向かっていた。

バスを降り、俺も目と鼻の先にある校門を抜けた。その時だ。

「よっ、真白」

だらしなく着た制服のシャツの裾を後ろから思いっきり引っ張られ、俺はひっくり返りそうになるのを必死にこらえた。

「圭… 朝からふざけんなよ…」

掴まれた裾を払いのけ、俺は憂鬱な顔を向けて再び歩き出す。圭は、そんな俺の後ろを悪びれることなく、付いてきた。

「もう休み終わっちゃったなー。今年は受験だし? 忙しくなるなー…」

圭はせつなくため息をつきながら、独り言のよう話し出す。



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