きみが見た光
昼休み、俺は屋上に上がっていた。

寝転んで、流れていく雲を眺めていると、こちらに近づいて来る足音が聞こえてきた。

「やっぱりここか」

その声に反応するように、俺は起き上がる。目の前には、苦笑いを浮かべた圭が立っていた。

圭はそのまま俺の隣にあぐらをかくと、缶のサイダーを二本、膝の前に置いた。そしてそのうちの一本を俺に差し出した。

「嘘つきやがって」

圭はサイダーの詮を開けて、口を付けた。

「…言いたくなかったんだ。昔のことだし…」

差し出された缶に手を伸ばして、俺もサイダーの詮を開けた。

弾ける炭酸を口に含み、ゴクリと喉を鳴らす。

「ふーん…」

圭は気の抜けた返事をして、どんどんとサイダーを流し込んでいた。



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