きみが見た光
「……」

俺は視線を逸らし、空を見上げた。

「…訳がありそうだしな」

真っ青に晴れた空を飛行機雲がそれをいとも簡単に割っていく。

次第に、昔、土手に寝転んで同じような景色を見たことを思い出していた。

楽しかった、あの頃……

「…初恋みたいな感じだった。兄貴の彼女と解っていながら、な…」

「そっか…」

俺達の間に、風が流れた。それはとても優しく髪を撫でる。

俺は、昔のことを圭に話しはじめていた。



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