きみが見た光
「ふーん… でさ、今でも好きなわけ?」

話しを聞き終わった圭が、静かな口調で尋ねてきた。

「そんなわけないだろ」

俺は、相変わらず空を見上げながら答えた。

「俺、あいつの顔を体育館で見たとき、怒りで震えてたんだぜ?」

笑いながら寝返りを打ち、圭の顔を見る。

そうだ。
奈緒が兄貴にした仕打ちを、忘れることなどできる訳がない。

そう思って、今まで生きてきたのだから…

「なんかさー」

圭は苦笑いを浮かべて俺の横に寝転んだ。

「愛が憎しみに変わったって感じ。お前が今まで彼女を作らなかったのって、そのことがあるから?」

「…別に。関係ねぇよ。ただ、興味ないだけ」

俺は立ち上がり、制服に付いた砂を払った。



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