きみが見た光
「…なんなんだよ」

俺は信号で横断歩道の手前で立ち止まった。そして再び横に並んだ彩夏の顔を、面倒臭そうに眺めてみた。

「ねぇ、あたしを彼女にしてよ」

「は?」

彼女の突然の提案に、唖然とする。

いきなり、何言っちゃってんの、こいつ…?

俺がびっくりして口をあんぐりと開けているにもかかわらず、相変わらず彩夏はいつものように笑っていた。

「真白に彼女がいれば、あんな写真のことみんな忘れちゃうよ。それにあたしもね、そうしてもらえると助かるんだよねー」

髪の先をつまみ、指でくるくるしながら、含みのある言い方をする彩夏に、俺は眉根を寄せる。

「野球部の野崎がさー、しつこくてね」

聞いてもいないのに、ペラペラと事情を話す彩夏に、俺は半ば呆れていた。



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