きみが見た光
「…今日だって、真白は絶対にカラオケに来ないと思ったから、あたしも予備校に来たんだよ?」

心なしか、明るい電気の下で見る彩夏の顔は赤い。

え…
…な、なっ
まさか……

俺が眉をひそめながら言葉を探していると、彩夏は目尻を下げて笑いを殺している。

…あんにゃろ

一瞬でも、こいつの言葉に騙されそうになった自分を恥じる。俺は、目を三角にして、彩夏をにらんだ。

「でも、ホント。助かるのは確かだから。考えておいて」

最後にそう告げると、彼女は右手をヒラヒラさせながら駅の隣のコンビニに入って行く。

俺はその後ろ姿を呆れながら眺めていた。



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