きみが見た光
「健くんはあの子にとって本当に特別だったの。でもまた自分のそばから、愛しい人が居なくなった… 今度もまた自分のせいだった。あの時、あの子の心が壊れてしまったの。どうしようもないほどに…」
壊れた器では、砂を受け止めることはできない…
"最初から何も無かった"
そう思わなければ、生きることができなかったと…
俺はふと、外から見た奈緒の目を思い出した。あの濁っていて淀んだ瞳を…
あれは、心を失った奈緒――
多分俺は、あの時解っていた。
誰が一番兄貴の死を悲しんでいたのか。
うちの両親よりも
罪の意識を拭いきれず、最愛の人を亡くしたのは、奈緒…
俺は、悔しかった。
でもその気持ちに気付きたくなかった。
記憶を無くしてしまうほど兄貴を愛していた奈緒を、俺は愛していたんだ…
壊れた器では、砂を受け止めることはできない…
"最初から何も無かった"
そう思わなければ、生きることができなかったと…
俺はふと、外から見た奈緒の目を思い出した。あの濁っていて淀んだ瞳を…
あれは、心を失った奈緒――
多分俺は、あの時解っていた。
誰が一番兄貴の死を悲しんでいたのか。
うちの両親よりも
罪の意識を拭いきれず、最愛の人を亡くしたのは、奈緒…
俺は、悔しかった。
でもその気持ちに気付きたくなかった。
記憶を無くしてしまうほど兄貴を愛していた奈緒を、俺は愛していたんだ…