きみが見た光
"私が幸せになることが、あの人の願いなんだって教えてくれたの"

奈緒の言った言葉が、頭の中にぽんと浮かぶ。

「人は、生きている限り、生き続けなければいけないの。その長い道程の上で、死んでしまいたいほどの悲しみに暮れた後でも、ほんの一掴みの幸せを持つくらい、許されてもいいんじゃないかしら…」

奈緒の幸せ…
それは、兄貴を愛し続けることではない、ということ…?

「真白くん。どうか奈緒を許してやってください」

おばさんは目をつむり、また俺に頭を下げたのだ。

「どうか… どうか…」

テーブルに両手を付き、ためらいもなくおばさんは俺の目の前で、呪文を唱えるように頭を下げている…

ぼんやりと、俺の瞳に映っていた。

俺は…
俺は……



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