きみが見た光
「真白」

席につくと、圭が俺の肩をぽんと叩く。

「んー?」

気の滅入るほどのどんよりした空に、俺はけだるく返事する。

「悪ぃんだけど、今日の掃除当番変わってくれよー」

「ヤだね」

「即答かよー」

圭は苦笑いを浮かべていた。

「今日さー、新入生歓迎会で、準備しなきゃいけないの。な、頼むよ」

両手を顔の前で揃えて、圭は必死に頼み込んできた。すると、その後ろから彩夏がやって来て、俺達の間に割って入る。

「ダメだよ、圭。今日は真白、あたしと放課後デートだから」

彩夏はウィンクしながら圭の目の前で右人差し指を振る。そして、俺の左腕をひしと抱きしめたのだ。

彩夏のその仕草に、また周りの視線が一気に俺達に集まってくるのをまともに受け、俺は思わず目玉が飛び出しそうになった。



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