きみが見た光
彩夏のあの宣言が功を奏したのか、俺を見てヒソヒソと話している生徒が目立たなくなった(ような気がする)。

放課後、彩夏と並んで学校を出ると、雨は既にやんでいた。

「風が… 強い」

ごぉーっと唸りをあげる旋風のような強い風は、彼女の自慢の髪をボサボサにした。

眉根を寄せて、必死に髪を押さえているが、すぐに無駄であることを悟り手を下ろす。

「真白」

彼女は、何かいいアイデアを思いついた時のように笑いながら、俺を呼んだ。

そんな時は、大概他人には"イイコト"ではない。俺は、怪訝そうに振り向いた。

「飛ばされちゃいそう」

彼女はそう言いながら、左手を差し出して来たのだ。



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