きみが見た光
…アホか、こいつ。

俺はそれを横目でじっと眺めた後、プイっと前を向き、歩きだした。

「あっ」

無視された彩夏は、頬をプクっとさせて無理矢理俺の右腕を強く握ったのだ。

「重い。放せ」

「ヤだよー」

「あー、楽ぅ〜」と口にしながら彩夏は、悪戯な笑みを浮かべながら風の抵抗に体を任せていた。

(マジ重いっつーの)

仏頂面で向かい風を歩き進める俺と、その後ろで引っ張られながら笑って歩く彩夏は、目的のアイスクリーム屋を目指して、駅に向かっていた。



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