きみが見た光
アイスクリーム屋のイートインで少し震えながらアイスを食い、彩夏の一方的な話を聞き流しながら、俺は別のことを考えていた。

あの目の隈、なんなんだよ…

俺は、奈緒の目の下にくっきりと浮き出ていた隈を思い出していた

そんなにやつれるくらいなら、早く相談すべきところに行けよ…

それとも、誰かに脅迫でもされているのか…?

もしくは……

「…しろ、真白」

溶けかけのアイスのコーンを握り、ぼーっと考え事をしていた俺に、彩夏はしきりに俺を呼ぶ。

「垂れてるよっ」

溶けたアイスがコーンに染み出し、彩夏は大慌てでかばんからハンカチタオルを取り出して俺に渡した。

「あ、あぁ、悪ぃ…」

俺はベタベタになった手でそれを受け取り、制服に垂れたアイスを拭き取った。

「帰ったら、制服、洗濯してもらった方がいいよ」

「あぁ…」

俺の思わぬ失態に、彩夏は眉を八の字にさせてその様子を見ている。



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