きみが見た光
「あっそ。よかったな。俺も今日のお前のお陰で、助かったけど…」

語尾を強調するように俺は彩夏の目を見つめた。

「今日みたいにあまり目立つことはすんなよ」

それでも彼女はケロッと笑った。

「いいじゃない。今あたしがあんたの彼女であるのは確かなんだし」

はぁー
減らず口だなー…

たくましい女だよ…

「頭痛ぇ… 悪ぃけど、俺行くわ」

俺はあからさまに溜息をつきながら、かばんを手に取った。

「え、うそっ! なんで?」

俺の急転換に、彩夏は顔をしかめる。

「またな」

そんな彼女に右手をサッとあげて、俺はアイスクリーム屋の自動ドアを抜けて行った。



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