きみが見た光
「ねぇ真白くん、あなた、広瀬さんと付き合ってるんでしょ? 私に構ってていいの?」

思い出したように、奈緒はそう口にした。

「別に。いろいろ理由があって、偽装してるだけ」

「…偽装?」

奈緒は信じがたいといった目色で聞き返す。

「だって彼女、あなたのこと真剣に庇ってたじゃない」

奈緒は、朝のHRの後のことを言っているのだろう。確かに、彩夏があんなことを言い出すとは想定外だったが…


まさか、な…
さっき、釘刺したし…

「高校生にも、いろいろあるんだよ」

「ふーん…」

俺の振る舞いに、理由が思い当たらない彼女は、俺の背中にピタッと横顔をつけて小さくつぶやくように返事をした。



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