『霊魔伝』其の弐 火の章
「駄目じゃ、二十歳になるまでに、霊魔を使えるようにしなければ、おまえは霊魔となってしまう。
霊魔となってずっとこの世の陰の世界を彷徨うことになる。
一度霊魔になってしまうと人間に戻ることは非常に難しい。」
「え、霊魔になってしまうってどういうこと。」
「霊魔とは、元々非常に不安定な存在で、陰の世界と我々のいる陽の世界を行ったり来たりしているのじゃ。
この陽の世界にいるのが白い霊魔と呼ばれ、安定して存在できる数少ない霊魔だ。零次朗が見ているのもそれに含まれる。
しかし霊魔の中には、陰の世界から抜け出して安定したいと考える黒い霊魔たちがおり、我々一族のような特殊な能力を持つ者に接触をしてくる。
必ずしも、黒い霊魔たちが悪であるということではない。その黒い霊魔の波動と我々の波動が共鳴するらしい。その時に霊魔を制御できなければ、魂を食われて身体をとられてしまう。人の身体を寄り代として、安定しようとするためだ。
が、それだけでは終わらぬ。もっといい身体を求めて、次から次へと人の魂を食らっていき、食らわれた魂の持っていた陰の力を強めていく。」
「どうして二十歳までなの。それに今まで見てきた奴等は、そんなに悪いのはいなかったよ。」
「零次朗の身体を取らなかったのには、いくつかの理由がある。
まず、我々一族とすでに盟約を結んでいる白い霊魔たち。一度でも陽の世界で安定したことのある黒い霊魔。
これらは人を襲うことはない。
この世に存在し続けるには、人と縁を結ばねば留まることはできない事を知り、縁を結ぶ機会を持っている霊魔たちだ。
もし人を襲うなどして、主から縁を切られたら、瞬間に消滅して陰の世界の閉じこめられてしまうのじゃ。
それと陰の世界からこの世に出たいと思っている霊魔たち。これらはあまり長い時間陽の世界には存在できぬ。この世に縁がないからの。しかし、縁を誰かと結ぼうとしている。
そいつらがおまえを見初めて品定めに来ているだけじゃ。そして、自分が縁を結ぶか、あるいは乗っ取る身体を傷つけないようにと見守っているのじゃ。
おまえが気を許せば、それだけ簡単に事が済むからな。しかし、二十歳を迎えなければ、おまえの身体が持たないのだ。霊魔を受け入れても、若すぎると身体が耐えきれずに壊れてしまう。」
霊魔となってずっとこの世の陰の世界を彷徨うことになる。
一度霊魔になってしまうと人間に戻ることは非常に難しい。」
「え、霊魔になってしまうってどういうこと。」
「霊魔とは、元々非常に不安定な存在で、陰の世界と我々のいる陽の世界を行ったり来たりしているのじゃ。
この陽の世界にいるのが白い霊魔と呼ばれ、安定して存在できる数少ない霊魔だ。零次朗が見ているのもそれに含まれる。
しかし霊魔の中には、陰の世界から抜け出して安定したいと考える黒い霊魔たちがおり、我々一族のような特殊な能力を持つ者に接触をしてくる。
必ずしも、黒い霊魔たちが悪であるということではない。その黒い霊魔の波動と我々の波動が共鳴するらしい。その時に霊魔を制御できなければ、魂を食われて身体をとられてしまう。人の身体を寄り代として、安定しようとするためだ。
が、それだけでは終わらぬ。もっといい身体を求めて、次から次へと人の魂を食らっていき、食らわれた魂の持っていた陰の力を強めていく。」
「どうして二十歳までなの。それに今まで見てきた奴等は、そんなに悪いのはいなかったよ。」
「零次朗の身体を取らなかったのには、いくつかの理由がある。
まず、我々一族とすでに盟約を結んでいる白い霊魔たち。一度でも陽の世界で安定したことのある黒い霊魔。
これらは人を襲うことはない。
この世に存在し続けるには、人と縁を結ばねば留まることはできない事を知り、縁を結ぶ機会を持っている霊魔たちだ。
もし人を襲うなどして、主から縁を切られたら、瞬間に消滅して陰の世界の閉じこめられてしまうのじゃ。
それと陰の世界からこの世に出たいと思っている霊魔たち。これらはあまり長い時間陽の世界には存在できぬ。この世に縁がないからの。しかし、縁を誰かと結ぼうとしている。
そいつらがおまえを見初めて品定めに来ているだけじゃ。そして、自分が縁を結ぶか、あるいは乗っ取る身体を傷つけないようにと見守っているのじゃ。
おまえが気を許せば、それだけ簡単に事が済むからな。しかし、二十歳を迎えなければ、おまえの身体が持たないのだ。霊魔を受け入れても、若すぎると身体が耐えきれずに壊れてしまう。」