おしえてください、先生。
南の唇に自分のそれを寄せる。
そっと触れた唇は少し冷たくて、柔らかくて、とても甘かった。
ずっとそうしていたかったけれど、そういうわけにもいかず離れる。
南の頬がほんのり赤くなっていた。
「てことで、お前消えてくんね?」
そう言って南を抱きしめて男を睨み付ける。
男は顔を真っ赤にしていた。
「み、南みたいなアバズレ、こっちから願い下げだあああああ!!!!」
男はそう叫んで走り去っていく。
南のどこがアバズレなんだよ……。
「南、行くぞ」
「うえ、あ、はい」
南の手を取って、南の家へ向かった。
無言でバスに揺られていれば、少しずつ冷静になってくる。
俺、南に何した?
南の気持ちもわかんねえのに、自分の気持ち優先して……キス、したよな。
南がすげえ嫌だと思ってたらどうする?
いや、きっとそう思ってる。
前にした頬へのキスは、熱で朦朧としながらも謝って許してもらった記憶がなんとなくあるけど……。
頬と唇じゃ全然違うし、さすがの南も怒ってるんじゃ……。