おしえてください、先生。
「あのとき話してたのはお前のこと。お前のこと、好きになっちまったって話をしてたんだよ」
「でも、付き合う気ないって……」
「そりゃお前、男怖がるし嫌いだし、中学生だし。生徒だし。付き合えるわけねえだろ」
だから本当は、この気持ちも伝える気は無かった。
「だから、キスのことは忘れてくれ」
「え……?」
「勝手にキスして、悪かった。南の近くに男がいるのがすげえ嫌だった。取られたくないと思ったら、キスしてた」
本当ごめん。
そう言って繋いでいた南の手を解放した。
「……やだ」
「は?」
「やだ、忘れたくない」
俺が離した手を、南の両手が捕まえる。
「忘れたくない……私も、好きだから」
「何言って……」
信じられなくて、呆然とする。
だけど、耳まで真っ赤にして握った手を見ている南を見て、本当なんだと自覚した。
「……ありがとう」