おしえてください、先生。
受験生なんだから、そう言って遠くを見る。
受験まであと3ヶ月を切っている。
この時期に、浮ついた気持ちじゃ困る。
南が俺の手を離す。
南を見れば俯いていて、見るからにシュンとしている。
さみしそうなその雰囲気に、自分の頭をガシガシとかいた。
「合格したら……」
「え?」
「うちの高校に合格したら、考える」
「ほ、ほんとに?!」
南が嬉しそうに目をキラキラ輝かせて笑顔になる。
もしその時、南の気持ちが変わってなかったら。
その時は……今と違う関係性に、なるのだろう。
とりあえず、その前に……。
「南、連絡先教えて」
「え、あ、うん?」
これで、いつでも連絡できるな……。
南の連絡先が追加されたスマホをポケットにしまって、俺と南は南の家のマンションに向かって歩き始めた。