おしえてください、先生。
今まで苦手だった男の子たちとは違うタイプだって、もうわかってるから……不安だけど、今日の授業も頑張ろう。
そう決意して、私はまた窓の外を見つめた。
相変わらず空はどんよりと曇っていた。
放課後、家に帰ると雄悟先生はもう来ていた。
「ごめんなさい、遅くなって」
「いいから。気にすんな」
雄悟先生が初日に急がなくて良いって言ってくれたから、私は混んでいるバスや電車を避けている。
こんな風に雄悟先生が先に来ているのは2回目で、私が遅れてきても先生は決して怒ったりしない。
リビングにいた雄悟先生と自分の部屋に行こうとすると、お母さんに声をかけられた。
「南、お母さん今から仕事だから。夜ご飯はこれ温めてね。雄悟くんも」
「ありがとうございます」
家庭教師に来てくれる日、雄悟先生はたいていご飯をうちで食べていく。
だからそれは驚かないんだけど……。