おしえてください、先生。
どうしよう……きっと、怒ってる。
怖くて身体が震える。
厳しくていつも怒っていた、お父さんを思い出した。
小さい頃、おねしょをすると怒られた。
怖くて早く直したかったのに、怒られれば怒られるほどおねしょはなかなか直らなかった。
小学校の頃、テストで100点じゃなかったら怒られた。
一問でもミスすると怒られるから、怖くて必死に勉強した。
中学生になって初めて痴漢の被害に遭った時、もう電車にもバスにも乗りたくないと泣いたら、お前がそんな風に弱いからつけ込まれるんだ!と怒られた。
いつも怒っているお父さんは、私にとって畏怖の対象でしかなかった。
お父さんもいつも低い声で、無表情で……。
ぎゅっと目をつぶる。どうしよう、泣きそう……。
「最初から説明するから、よく聞いとけよ……って、南? おい、何泣いて……」
気づけば、もう涙が溢れていた。
「ちが……せ、先生のせいじゃ……なく、て……」