おしえてください、先生。
私が勝手に怖くなって、思い出して、泣いちゃっただけ。
格好悪い……。でも、涙が止まらない。
「南、泣くなって……悪かった、怖がらせたか?」
「ん……ちが……お、怒ってるかと、おも、って……」
「怒ってねぇよ、な?」
「う、ん」
雄悟先生のいつもより優しい声に、涙を手でぬぐって顔を上げる。
雄悟先生を視界に入れて、ドクンと大きく心臓がはねる。
思った以上に先生の顔が近くて驚いた。
ど、どうしよう……。ち、近いよ……!
いつもの勉強してる時とは違う、手を伸ばせばすぐにでも触れられそうな距離。
心臓の音がいつもより遙かに早く、大きい。
身体は緊張からか、固まって動かない。
雄悟先生は何も言わず、真剣な表情で私を見つめている。
怖いし近いしドキドキするし、もうどうしたらいいの……?
訳もわからず、顔を伏せて目をギュッとつぶった。
どうしよう……。これ、どういう状況?
雄悟先生、すごく真剣な表情だし……。