おしえてください、先生。
*two*
先生と雷
ザーザーと、強く雨が降っている。
「うーわ、すごい雨。天気予報めっちゃ嘘つくじゃん」
愛夏が言う。
校舎から出た私と愛夏は生徒玄関で雨を見つめていた。
「今日、雨予報じゃなかったのにね」
「ほんと。折りたたみ傘持っててよかったよ」
私たちの手にはそれぞれ折りたたみの傘。
本当に持ってきておいてよかった。
愛夏がスマホを触りながら口を開く。
「うわ、このあと雷予報出てるよ! 南、大丈夫……?」
「雷……」
私は雷が大の苦手だ。男の人と同じくらい、苦手。
雷が鳴ると怖くて震えてしまって、動けなくなる。
今日からお母さんは出張でいないし頼れない……とにかく、雷が鳴る前に早く帰らなきゃ。
「大丈夫。雷鳴る前に帰るよ。じゃあね、愛夏」
「気をつけてね、南!」
手に持った折りたたみ傘を開いて、愛夏に手を振った。
電車の中は雨のせいか、普段より混んでいた。