おしえてください、先生。
――ゴロゴロゴロゴロ
「やっ……」
足の力が抜ける。
さしていた折りたたみ傘は地面に落ち、支えられなくなった身体は地面に座り込んでしまった。
両手で耳を押さえる。
「いやあっ……!」
目からは勝手に涙が溢れ、ガタガタと震える身体を雨が濡らしていく。
どうしよう……動けない……っ。
自分ではどうしようもなくて、震えるだけ。
しばらくすると、雨音に混ざって声が聞こえた。
「……み? ……と……なに……」
声はどんどん近づいてくる。
「南!」
震えながらも顔を上げたそこにいたのは、傘を差して駆け寄ってくる雄悟先生だった。
「どうした? 転んだのか?」
優しい雄悟先生の声。
昨日ピリピリしてた時とは違う、心配しているような穏やかな声だ。
顔を横に振る。
雄悟先生がしゃがみ込んで、私の顔をのぞき込んだ。
先生の傘が被さる。雨はもう当たらない。