おしえてください、先生。
「か、かみなり……」
「雷?」
「こわ、くて……っ」
「…………」
視線を地面に落とす。
きっと、雷くらいで面倒臭いって思われる……。
なぜか涙がさらに溢れてしまう。
「南、立てるか?」
頭を横に振る。
面倒くさがられたくないのに。立ちたいのに。
力の入らない足は、いうことを聞いてくれない。
「南……」
名前を呼ばれて、びくりと体が震える。
「嫌だと思うけど……触るぞ?」
驚いて顔を上げると、目の前には雄悟先生の顔。
先生の私とは違う男の人の腕が伸びてきて、心臓が跳ねた。
腕を掴まれて引っ張られる。
「きゃ……っ」
ぎゅっと目を瞑ると、宙に浮く感覚がした。
そっと目を開ければ、雄悟先生の横顔がすぐ近くに見えた。
一瞬何が起こったのかわからなかったけど、先生にお姫様抱っこされているのだと気づく。
先生が傘をさせなくなってしまって、二人で雨に打たれる。