おしえてください、先生。
少しふらついて、先生にもたれかかった。
先生は嫌がることなく体で支えてくれる。
「カバンのどこ?」
「浅いとこ……」
雄吾先生が持っていた私のカバンから器用に鍵を取り出して、玄関扉を開けてくれる。
カバン、私のも持ってきてくれてたんだ……。
二人で玄関に入った瞬間、また雷が鳴った。
――ピカッ……ゴロゴロゴロ
「きゃあっ」
「近いな……」
雄悟先生に支えられたまま、なんとか靴を脱ぐ。
泣きすぎで、頭がクラクラしてきた。
「南、とりあえず風呂入れ。さみいだろ」
11月の今、ずぶ濡れの服はどんどん体温を奪っていく。
雷への恐怖と寒さとで体はガクガクと大きく震えている。
だけど……。
「む、無理っ。こわい……」
体の震えも涙も止まらない、満足に立ってもいられないこの体で、一人でお風呂なんて入れない。
「大丈夫だ。ゆっくり深呼吸して」