おしえてください、先生。
「お、おい南!」
たまらず声を上げる。
かわいいと思ってる相手にこんなことされて、平常心でいられるほど俺は大人じゃない。
だからと言って、南は今精神的に弱くなっている。
俺が、しっかりしねえと……。
南をお姫様抱っこしたまま、南の鞄と傘を持って俺は南の家へ向かった。
南の家の玄関に入った瞬間、また雷が鳴る。
――ピカッ……ゴロゴロゴロ
光ってからあまり間を置かずに鳴る雷は、近くで鳴っていることを教えてくれる。
怖がる南を支えたまま靴を脱ぐ。
とりあえず、この濡れた服と冷えた身体をどうにかしねえと……。
「南、とりあえず風呂入れ。さみいだろ」
「む、無理っ。こわい……」
南の身体は震えている。声も涙声だ。
「大丈夫だ。ゆっくり深呼吸して」
南の深呼吸に合わせて、ゆっくり背中をさする。
落ち着いてきた様子の南は、俺から離れてなんとか一人で立った。