おしえてください、先生。

「大丈夫か?なんか困ってるみたいだったけど」



声はぶっきらぼうで、愛想がない。

少し低めな声であることも相まって、びくつきながらも小さく頷く。



「あ……ありがとうございました……」



小さくお礼を言って、俯いた。

助けてくれたけど……やっぱり男の人は怖い。

男の人はそれ以上なにも言わなかったけど、頭上にひしひしと視線を感じた。





しばらくバスに揺られ、目的のバス停で降りる。

助けてくれた男の人も、同じバス停で降りた。



はぁ、やっと外に出られた……。



長い間男の人が近くにいたせいで、少し気持ち悪くてフラついてしまう。



「おい、大丈夫かよ、お前」

「だっ、大丈夫です」



助けてくれた男の人が声をかけてくれたけど、それを振り切って走って家に向かう。

心配してくれてるのはわかるけど……やっぱり、怖い。

それに……言葉遣いが、私をいじめてた男の子を連想させて、ビクビクしてしまう。
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