おしえてください、先生。

南が小さく頷いたのを見て、そっと引き剥がす。

南の体は震えてはいるが、最初の時のようなパニックにはなってないみたいだ。



なんとか哀れもない格好の南に服を着せようと言いくるめ、脱衣所から風呂場に続く扉を閉める。

服を脱いで借りたタオルで体を拭く。

少し体が冷えてきてるけど、仕方ない。

急がねえと。

着ていた制服も下着もぐちゃぐちゃで着れたもんじゃなく、南が用意してくれたお父さんのだというスウェットと新品の下着を借りた。



髪も乾かし、やっと落ち着いた俺たちはリビングのソファーに座った。

天気の話になって、聞かずにはいられなかった。

どうして、ここまで雷が怖いのか……。



「昔、お父さんをすごく怒らせたことがあって……。お仕置きだって、真っ暗な物置に閉じ込められたの。その日は今日みたいにすごい雷が鳴ってる日で……」



ひどい話だった。

自分の娘にすることじゃない。絶対に許せない。

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