おしえてください、先生。
「んー、それはあまり心配してないっていうか、なんなら手出してもらっていいんだけど……」
「……は?」
今度は俺が驚く番だった。
手ェ出していいって……何言ってんだよおい。
健全な男子高校生に言っていいセリフじゃねえよ……。
「うーん、そうね。他に方法もないし、お言葉に甘えて雄悟くん南をよろしくね。もし雷でパニックになったら、ハグして背中さすってあげれば大抵治るから」
「は?」
バグ? 何言ってんの?
「私そろそろ行かなきゃ。よろしくね、雄悟くん」
「え、ちょ、桜さん?!」
名前を呼ぶが、耳に届くのは虚しい「ツー、ツー」という音。
切られた……。
「お、お母さん、なんて?」
「……泊まっていいって」
むしろ問題はそこじゃないっつーか……。
「えぇっ、そんな、お母さん……」
南が不安そうに眉を下げる。
「心配すんな。子どもに興味ねーから。手ェ出さねえよ」
それは自戒でもあった。