おしえてください、先生。
「か、金森……?」
金森聖。
よく知った名前に、ハッと目を見開く。
「思い出したかよ?」
「金森くん……ひ、久しぶり……」
にやっと笑って私を見るその人、金森くんは、小学生の頃に私をいじめていた筆頭の男の子だった。
その頃は私と同じくらいだった背も大きくなって声も低くなってるし、正直忘れようとしていたこともあって全然わからなかった。
「元気してた? お前、急に転校するからさー。いつもこの駅使ってんの?」
金森くんはとても自然に話しかけてくる。
この人、昔私にしたこと忘れたの……?!
私を一番いじめてたのに……。
私の大切にしてたリボンのヘアゴムを引っ張ってリボンを取っちゃったのだって、この人なのに……!
「わ、私……っ、急いでるから……!」
少し震えている身体に鞭を打って、金森くんの横をすり抜ける。
金森くんが何か叫んでる気がしたけど、私は止まることなくバスの停留所へ向かった。