おしえてください、先生。

バスに乗って、ホッと息を吐く。

もしかしたら追ってくるんじゃないかとドキドキきたけど、それはなかったみたい。良かった。



金森聖くん……。

小学生の頃、私をいじめてた男の子の一人。

運動神経が良くて、勉強もそこそこできて、活発なクラスの中心だったガキ大将。

そんな金森くんに目をつけられた私は、目が合うとスカートを捲られ、話しかけるついでに髪を引っ張られ、虫を持って追いかけられたり……。

ついには、お気に入りだったヘアゴムのリボンを引っ張られ、リボンを引きちぎられたこともある。

しかも、リボンは返ってこなかった。

私が男の子を苦手になるのは当然で、金森くんが私を男嫌いの道へ引き摺り込んだと言っても過言ではない。








家に着くと、玄関には雄悟先生の靴があった。

先生、はやいなぁ。

玄関を上がって、そのままリビングに向かう。

リビングの扉を開けようとした時、聞こえた言葉に耳を疑った。



「好きです」
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