おしえてください、先生。
聞いたんだもん。
言葉は口にできなかった。
「俺が好きなの、南なんだけど」
好きなの、南なんだけど。
意味が理解できずに、脳がショートする。
「へ?」
「俺が好きなのは桜さんじゃなくて南だから。好きじゃない相手にキスするほど、俺も腐っちゃいねえよ」
「でも、だって、あのとき……」
働かない頭で必死に考えて、私は雄悟先生にお母さんに好きだと言っていた時のことを説明した。
「あのとき話してたのはお前のこと。お前のこと、好きになっちまったって話をしてたんだよ」
「でも、付き合う気ないって……」
だから、お母さんのことだと確信した。
お母さんにその気が無いからだって思ったのに……。
「そりゃお前、男怖がるし嫌いだし、中学生だし。生徒だし。付き合えるわけねえだろ」
確かに……。と少し納得してしまった。
最初に中学生に興味ないとか言ってたしね。
私にも惚れるなとか言ってたし、たとえ好きになっても付き合うとか考えないかも……。