性別≠不一致

ここは思い切りが大切だ。思い切ってボリュームを減らしていくぜ!


カチャカチャカチャ。リズム良くハサミが鳴る。


嗚呼、やっぱこの音好きだわ。ちょっと快感。


店のハサミを勝手に改造して音が大きく出るようにしたけれど、やっぱこれいい。俺グッジョブ!


段々気持ちよくなってきて、最初の緊張はどこへやれ。


余裕も生まれて千秋と会話を初めてみたり。


「千秋の髪って超サラサラだな。縮毛とかかけてる?」


「生まれつき。全くかけてないよ」


「へぇ、羨ましがられるだろ」


「俺は逆に悩んでるんだけどなぁ。ワックス付けても全然立たないし、思い切って短髪にしたいけど、ヘニャッってなって似合わないし」


「千秋は長い方が似合うって。襟足が軽く結べるぐらい伸ばしてもいいと思うぞ」


そういうもんかなと小首を傾げる千秋に、そうだと俺は言い聞かす。
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