性別≠不一致

参加しなければいいだけのことだが、どうしたものか。


頭の中で色々と考えながらも、瞳は周囲を覗い見知った顔を探索する。


とりあえず今はさっさと家に帰って着替えなければ。


女の格好をしているだけで嫌な気持ちになっているのに、こんな姿を見られたら―――


そんな時に限って、神様は意地悪をする。


「おっ」


「あっ」


曲がり角から見知った顔が飛び出してきた。


硬直する身体。多分顔は引きつっている。


それでも目の前の知り合いは笑みを見せると、気さくに話しかけてきたのだが。


「ちー坊やない……か?」


眉間の間に深い皺を刻み、怪訝な表情を見せた。

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